新たな謙仁会ブランドを創る

お正月も過ぎ、来年度の計画を立てる時期になりました。今年は9月14日佐賀救急医学会という当院にとっては大きなプロジェクトがありますが、その準備をしながら、今までの医療水準は守りつつ、 新たな謙仁会ブランドを創ることを検討したいと考えています。まず、各科の先生方に相談しました。

 消化器については、外科部長を中心に、学会活動はもちろんのこと、佐賀西部地区で唯一の「日本がん治療認定医機構認定施設」としての活動も行いながら、胆肝膵外科を伸ばすとともに新しい試みとして、手術を受ける患者様に負担のない外科手術を目指して、硬膜外麻酔法と胆嚢手術だけでなく、胃や腸管の手術にも拡大して腹腔鏡下手術に力を入れる計画をしています。

 内科では、健診に遺伝子検査を組み込むことと副院長は県認知症サポート医ですので、新たに「物忘れ外来」(認知症外来)を立ち上げ、臨床心理士とともにさらに質の高い認知症診療を計画しています。また、副院長のライフワークである抗加齢療法を推進すべく抗加齢認定施設を目指しています。

 循環器科では、睡眠時無呼吸症候群患者様や高齢者の増加に伴い心肺機能低下の患者様が増加していて、在宅で人工呼吸器や在宅酸素療法を受けている方や病院治療中の予備軍を含めると30名を超えるようになってきました。それに、本格的な心肺機能のリハビリ目指して新たに診療部長中心に「心血管リハビリテーション」を立上げる計画があります。これも、佐賀西部地区で唯一の施設となります。それらを統合して、もっと幅広いチーム医療として、「心肺サポートセンター」を計画し、心肺機能低下の患者様の改善に貢献できるものと思います。

 今後も、救急を中心に地域医療に貢献することを基本的姿勢としていますが、チーム医療で高齢者医療、慢性医療のバックアップがないと救急も回らないのが現実です。謙仁会ブランドといっても、高齢化社会、生活習慣病などの疾病構造の変化、低侵襲治療などの社会の需要など社会情勢の変化があり、発展させたり、新規に整備したりして、時代にそうようにしていきたいと考えています。今年は巳年ですが、「脱皮」いわゆる再生、新生することで地域医療に貢献したいと考えています。

山元記念病院 理念

地域住民に密着した病院として地域医療の向上と予防医療・福祉に貢献する。

謙仁会 理念

一.患者さんは常に正しい。
一.頭を下げよ。
一.ベストを尽くせ。

謙仁会の家風

4月1日を境として、謙仁会山元外科病院及び楽寿園老健施設の人事移動が例年の如く行われた。それによって多数の新人が就職して来た。「日に新たに、日々に新たに」と言う言葉があるが、人が入れ代わることは仕事場の活性化に役立ち良いことだと思っている。新風を送り込むという意味で期待が大きい。

特に謙仁会の職員は看護学校や准看学校に入学する者、或は栄養士.X腺技師その他新たに准看や正看の免許を取得した者、介護職員など様々である。病院、老健施設を合わせると、医師職員を含めて職員の数は二百数十人の大世帯になって来た。そこで新しい人たちの新風は有難いことであるが、一方山元外科病院、老健施設には伝統という家風がある。これは山元外科病院が創設されてから、堂々として今日まで40年間試行模索し乍ら自然と出来上がって来た家訓とも言うべきもので、この大原則は守って欲しいし、新風によって更に発展させて欲しいと思っている。

この大原則とは「患者さんは常に正しい。頭を下げよ。ベストを尽くせ」と言う標語である。

「患者さんは常に正しい」
患者さんは身体の病、心の病、悩みと痛みがあるため病院や施設に救いを求めて来られている。不安で一杯である。それ故に医者や看護婦(士)の一寸した言葉、一寸した動作、笑顔のあるまなざし、その他患者のための熱心な医療への探究心などの有るや無しやを大変気にし、一喜一憂しておられる。深夜の廊下の灯を一睡も出来ずに見つめて、心の悩み・将来のこと・職場のこと・家族のこと等を思い続けている患者さんも居るであろう。

「頭を下げよ」
患者さんの尊厳に対し頭を下げることであって、おじいさん、おばあさんと弱者呼ばわりしてはならない。はっきりお名前を呼ぶことである。又、患者さんには勿論、心配して来た家族や患者への慰問の人にも頭を下げ声をかけてあげることも良いことだ。

「ベストを尽くせ」
己の持てるだけの力と温かい心と智慧を一杯出し切って奉仕せよということである。以上が山元外科病院の家訓であって、要するに患者さんの事を第一で考え、自分のことは後から第二番目に考えることである。修業僧みたいなことだと思うかも知れないが、私はそうやって来た。具合の悪い人の病床には足繁く夜中でも何回でも訪問して来た。それでも己の智慧の足りなかった事に幾晩ももがき眠れぬこともあった。常に自分の心は患者の家族と共にあった。

さて、名医と言われる人が居た。それは握手して廻り、患者さんと話を交わすだけで特に才たけた人ではなかったという。又、最近読んだ本には、名医に共通したことは、患者さんにさわる、話をよく聞いてやる、そして患者さんを誉めるという三点であった。この話は単に医者だけではなく看護婦も又、介護人さんにも同じく心掛けることだと思う。よく説明してくれる医者が良い医者だという人もあるがインフォームド・コンセントと今は英語になっているが古来から日本にその美風はあった。これらの家風は新入社員のみならず外来の事務員も検査、薬局、リハビリ、X線室、給食室、訪問看護、支援センター、ホームヘルパーすべての医業にたずさわる者も新めて心掛けるべきことだと思っている。私共は聖職者であり、普通の労働者とは違うのだと誇りを持とう。

故 初代理事長 山元七次